#397 風とともに去りぬ

 9月も下旬となり、日中は最高気温が30度を超える日もありますが、朝夕は涼しい風が吹き、最低気温が20度を下回る日も出てきました。残暑がまだ厳しい日々が続きますが、爽やかな秋風と共に暦の上ではすでに秋が始まっています。
 さて、先日16日にデュオグループ「風」の大久保一久さんが死去されました。彼は「かぐや姫」の伊勢正三さんとかぐや姫解散後に「風」を結成し、デビューシングル曲「22才の別れ」は大ヒットしました。この「22才の別れ」は元々「かぐや姫」のアルバム「3階建ての詩」の中の1曲でした。シングル発売の予定がありましたが、なぜか実現しませんでした。このアルバムにはイルカが大ヒットさせた「なごり雪」も入っています。「風」や「かぐや姫」をご存じの方は50歳以上の世代だと思います。70年代当時に多くのファンを獲得したグループでした。
 伊勢正三さんは現在南こうせつさんと「ひめ風」というデュオで時々コンサートを行っていますが、大久保さんの死去を受けて次のような言葉を残しています。
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『伊勢正三、大久保一久さん訃報に感謝を語る』
 昭和のヒット曲「22才の別れ」で知られるフォークデュオ・風のメンバー大久保一久さん(71)が亡くなったことを16日、所属レコード会社が発表しました。
 大久保さんは1975年、かぐや姫解散コンサート中に伊勢正三さんとフォークデュオ・風を結成。デビュー曲「22才の別れ」は累計で100万枚を超えるヒットを記録。その後「あの唄はもう唄わないのですか」や「ささやかなこの人生」など、ヒットを連発し昭和のフォークソングブームを支えてきました。
 近年は、体調不良により活動を休止し治療を続けていましたが、9月12日家族に見守られながら亡くなったそうです。詳しい死因については明らかにされていませんが、16日近親者のみで葬儀が営まれたそうです。
 大久保さんの訃報を受けメンバーの伊勢正三さんがコメントを発表しました。『やさしかった久保ヤンへ』と書き出し『久保ヤンが「猫」、僕が「かぐや姫」のメンバーだった頃、出番前の楽屋の隅でいつも二人でギターの弦を張り替えながら、音楽の話をしたものです。思えばその頃から、すでに、「風」は結成していたんだね。「風」の頃の僕達は、朝から真夜中までいつも一緒だった。再結成しようとしていた矢先に病気で倒れてから、長い間ほんとにがんばったね。そして、朝方眠るように天国へ旅立ったと聞きました。「風」は今でも解散宣言をしていないデュオ。久保ヤンのやさしさがなかったら、「風」は存在せず、僕はただの孤独な男に過ぎなかったのです。ありがとう、久保ヤン。おやすみなさい』と大切な相方へ感謝の気持ちを語りました。
(https://www.news24.jp/articles/2021/09/16/08940614.html)
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 60年代から70年代にかけて活躍したフォークシンガー達も齢70歳を超えるほどになりました。70歳を超えて現役で活動しているシンガーはわずかしかいません。歳を取れば声が出なくなり、作品を創る創造性も衰えてきます。その中でさだまさし氏のように活躍するミュージシャンは稀です。
 年々若いミュージシャンが登場し、それぞれの世代にはその世代にあったアイドルが存在します。個人的には、今の若い世代の唄はあくまでも同世代に訴えるものが大半で、世代を超えた歌はあまりないよいに思います。
 「懐メロ」と言われても、自分が過ごした青春時代に流れていた音楽が今でも心に響く音楽です。時々聴いたり口ずさむことで、古き良き時代の思い出がよみがえってきます。そしてそれが明日への活力となります。大久保さんは「風」とともに去って行きました。ご冥福をお祈りいたします。

2021年09月19日