#260 備えあれば憂いなし?
朝から秋晴れで、涼しい秋風が吹いています。日中は30度を越す日々がまだ続いていますが、朝晩は爽やかな風が吹くようになりました。このまま秋らしい日々が続いてほしいものです。
さて、今日は敬老の日で3連休(または2連休)の最終日になります。ウィキペディアによりますと「敬老の日」は『敬老の日は、国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)第2条によれば、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としている。』ということです。
この「老人」の定義が時代により大きく変わってきました。老人福祉法では65歳以上を「老人」、「高齢者」と定義しているようです。だから65歳から年金が支給されるのでしょう。しかしながら、年金財政の枯渇に伴い、政府は年金支給を70歳に変更する計画を立てています。そうしますと、65歳の「老人」という呼称は皮肉にも「後期中年」または「後期壮年」となるのでしょうか。
10月からの消費税増税に伴い大半の商品の値段が上がりますが、年金のみに頼るお年寄りにとって、ある意味では国による高齢者に対する「いじめ」になります。これでは老人を敬う「敬老」が老人を軽んじる「軽老」となってしまいます。政治家のように年齢にかかわらず働ける環境にいる高齢者は収入がありますが、収入のない年金暮らしの高齢者は少ない年金を切り詰める生活をしなければなりません。
財務省のトップが老後資金として定年後30年間生活するために2000万円必要だと論じましたが、この基準はいわゆる「老後報告書」の中で、「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月5万円程度を保有資産から取り崩しており、これを基に収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取り崩しが必要となる」旨の記述があり、これがネット上で炎上したのです。
大企業で働いた退職者は退職金が少なくとも5,6千万円貰えるでしょうし、企業年金の形で支給されます。そのお金の一部を利用して資産形成もできるでしょう。ところが中小企業や零細企業に勤めている人は退職金は極端に少なく、1千万円以下の人が少なくありません。このような状態では2000万円どころではなく、退職したその日から日々の暮らしに困ることになります。つまり体が動く限りパート等で働かざるを得ないのです。
また、いくら貯金があっても充分ではありません。病気やケガ、想定外の自然災害による緊急の出費が必ずあります。老後の生活は個人の生活レベルにより異なりますが、せめて人間らしい生活は送りたいものです。「備えあれば憂いなし」と言いますが、金銭面だけでなく健康面も含めて、あくまでも人間として尊厳ある生活を送りたいものです。「敬老の日」にこんなことを考えてみました。