#214 平成最後の晦日
本日は12月30日、平成最後の師走も残り1日となりました。年末のテレビは忙しく平成30年間の報道特集やニュース番組を流していますので、平成がどのような時代だったかダイジェスト版で確認できます。英語では1世代(one
generation)を30年と規定していますが、まさに30年という時間は一人の人間が生まれ育ち、社会人として活躍する時間そのものだと実感します。幼児は大人に、青年は老年になるのに十分な時間です。すべての人の人生において、30年という長さに喜怒哀楽のすべてが詰まっていると言っても過言ではないでしょう。さらに次の30年を考えると、生存している人がどのくらいいるでしょうか。私を含めて甚だ疑問です。
人生50年と言われた時代はすでに過去のものとなり、昨今では長寿のおかげで人生80年ではなく、人生100年と呼ばれるようになりました。しかし本当にそうなるでしょうか。ただ長生きするだけでは何の価値もありません。いかに充実した生き方をするか、換言すれば、他人のためにいかに有意義のある人生を送るかが大きな課題となります。新しい元号のもとに今までの経済中心・自己中心の生き方は改められ、本当の幸せを求める生き方が問われる時代になるような気がします。そうしないと人間の存在自体がこの地球という惑星の生殺与奪を決定しかねる状況となっているからです。
この惑星に生命体が誕生して以来様々な進化が行われました。その歴史を簡単に振り返ると、地球上に登場した最初の生命体は藻でした。次に藻を食料とする植物が登場しました。そして様々な種類の植物が大量に増えた結果として草食動物が誕生し、植物を管理していきました。また肉食動物が登場し、増えすぎた草食動物を管理します。最後に新参者として人間が登場し、動植物を管理する役割が与えられました。長らく人間の役割は主として動植物を管理することだったのです。
ところが知恵を身につけた人間が様々な経済活動を行い、急速に人口を増やしていきます。人口が急激に増えるにつれて経済活動もさらに活発となり、様々な資源を湯水のように使い果たしていきます。その結果今日の世界の人口は70億を超えて、平等な社会の確立ではなく格差社会が拡大し、一握りの人間が世界を管理する様な現在の状況が生じています。
このような状況を踏まえ次の30年間に思いを向けた時に、どのような時代が待っているでしょうか。希望に満ちた時代であるとはとても言えません。宇宙船地球号は定員オーバーの状態が続いており、現状では人口が増えるに伴い、環境問題が大きくなり、食料を含めて資源の枯渇も危惧されます。次の30年、2049年にどのような世界が登場するのか見当もつきません。希望的な憶測では科学技術が進み、ロボットと共存する未来社会が想像できますが、悲観的な憶測では人口が100億を超え、自然破壊が拡大し、格差社会がさらに深刻化し、少数の人間が大多数の人間を管理する社会が登場することになるでしょう。
いずれにしても未来を創るのは現在の私達です。希望ある未来を作り上げるために今何をしなければならないでしょうか。現在のような強欲資本主義を続けていけば早晩世界の破滅を引き起こすことになるでしょう。そのためには惑星地球と共存できる新しい思想や社会体系を作ることが急務となります。そうしないと結果は日を見るよりも明らかです。そのための新しい時代が来年から始まると思っています。私たち一人ひとりの力は微々たるものですが、大河は一滴の水から始まります。各自が今までの生き方を改め、地球と共存する自然に沿った生き方を始めると、すべてが変わっていくことでしょう。将来の子ども達のために、より良い社会を作っていくのは大人たちの責務です。
平成最後の晦日にこのようなことを考えてみました。今年一年間お世話になりました。それでは良い新年をお迎えください。