#254 上を向いて歩こう

 今日は8月13日、今日から15日までが盂蘭盆会(うらぼんえ)で、お盆の仏事供養(くよう)または供養のための法要・儀式のことで、略して盆会、盆供(ぼんく)、盆といわれ、魂祭(たままつり)ともよばれています。関東では7月13日から7月15日まで行われるそうです。ニッポニカによりますと、この儀式の由来は次のように説明されています。

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 おそらく5世紀前後に中国(あるいは西域(せいいき))でつくられたと思われる『盂蘭盆経(ぎょう)』が、この仏教行事の直接のよりどころである。この経によれば、目連(もくれん)尊者が、餓鬼道(がきどう)に落ちて苦しむ母親を救おうとし、仏陀(ぶっだ)(釈迦(しゃか))の教えに従い7月15日の自恣(じし)の日(夏3か月の修行の終わる日)に百味(ひゃくみ)の飲食(おんじき)を盆に盛り、修行を終えた僧たちに供養したところ、その僧たちの偉大な功徳(くどく)によって母親を救うことができたという説話(目連救母)に基づく。この故事によって、7月15日の盆供養は現在の父母のみならず7世の父母をも救いうると考えられ、中国では早くも南朝梁(りょう)の武帝(在位502~549)の時代に同泰寺で盂蘭盆斎が設けられ、以後、中国の年中行事の一つとなって大いに流行したという。日本にも7世紀のなかば以前に伝わり、飛鳥寺(あすかでら)の西に須弥山(しゅみせん)の形をつくって盂蘭盆会が催されたと伝えられる。733年(天平5)には宮中で盂蘭盆供養が催されており、以後、宮中の行事ともなった。また民間でもお盆の行事は正月と並ぶ重要な年中行事となったが、これは、農耕儀礼やそれにまつわる祖霊信仰のなかに仏教がうまく溶け込んだ結果であろう。
----------(https://kotobank.jp/word/盂蘭盆会-441915)

 このお盆の期間中多くの人が里帰りや墓参りで故郷で過ごします。年末年始休暇とともに日本人の2大民族移動と言えます。
 さて昨日は520人が犠牲となった日航機墜落から34回目の慰霊の日となりました。あの事故以来遺族の方々は今日にいたるまで慰霊の登山を続けて来られました。私がまだ20代だった頃の悲惨な事故でした。当時この事故を表す「ダッチロール」という言葉が流行っていました。飛行機の操縦ができずに飛行機が迷走する状態を表す言葉です。
 この事故の犠牲者の中に有名な坂本九さんがいらっしゃいます。享年43歳という若さでした。彼の歌った「上を向いて歩こう」は「SUKIYAKI」の曲名で世界的にヒットし、1963年にアメリカのビルボードで4週連続1位となった曲です。
 私はこの歌にささやかな思い出があります。オーストラリアのシドニーで暮らしていた1995年頃にこの歌の日本語バージョンを何度も聴いたことがあります。ある日シドニー市内のニュータウンという通りを歩いていた時に、どこからかこの歌が聞こえてきました。それも坂本九さんの日本語の歌声です。それから時々坂本九のオリジナルバージョンや英語バージョンが街中に流れていたことを思い出します。
 日本に住んでいた頃、この曲の偉大さにはそれほど気づきませんでしたが、南半球の片隅で聴いた「上を向いて歩こう」はこの歌の持つ時代を超えた魅力に改めて気づかされた出来事でした。
 坂本九さんが今生きておられたら、どんなに素晴らしい歌手になっていらっしゃったことでしょうか。本当に残念です。でも彼が歌ったこの歌は世界中でいつまでも歌い継がれて行くことでしょう。

2019年08月13日