#242 8050問題
今日は朝から曇天で、時折小雨が降っています。九州南部はすでに梅雨に入りましたので、北部もまもなく入梅となるようです。
さて、また痛ましい事件が発生しました。先日発生した川崎殺傷事件です。小学生ら19人を死傷し、事件現場で自ら命を絶ったのは51歳の男性で、80代の伯父らと同居し、引きこもり傾向にあったと言われています。事件の原因について多くの専門家がニュース等で意見を述べていますが、その中で1つ気になったのが8050問題です。ご存じのない方にこの問題をウィキペディアから一部引用します。
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『8050問題』(https://ja.wikipedia.org/wiki/8050問題)
引きこもりの若者が存在していたがこれが長期化すれば親も高齢となり、収入に関してや介護に関してなどの問題が発生するようになる。これは80代の親と50代の子の親子関係での問題であることから「8050問題」と呼ばれるようになった。
2018年に内閣府は、40歳から59歳までを対象とした初の実態調査を行った。それは従来までは引きこもりの問題は若者特有の問題であるとして調査されていたものの、中高年の実態はどうであるかを把握して支援に役立てるため。そして2018年度の予算案に調査費として2000万円を計上した。
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川崎殺傷事件では容疑者が同居していた伯父らが80歳代で、かつ容疑者がひきこもり状態であったことから、この8050問題が大きくクローズアップされています。引きこもりと言えば若い世代のひきこもりが連想されますが、厚生労働省は平成21年度よりひきこもり地域支援センター設置運営事業を行っており、先月内閣府がまとめた資料によりますと、40~64歳のひきこもり状態の人が全国に61・3万人いるそうです。この年齢では養親は少なくとも70代以上で年金暮らしをされていることと思います。いつ病気で倒れてもおかしくない世代になります。
この中高年ひきこもりに対して様々な意見があり、どれも正論のように聞こえますが、ひきこもりの解決法まで述べている意見ほとんでが見当たりません。この国では8050問題が晩婚化・少子化とともに近い将来大きな問題となっていくことでしょう。
それでは具体的な解決法があるかと思えば、残念ながら私には解決法を見出すことができません。個人的な問題なのか、あるいは公的な援助を必要とする国を挙げての問題なのか判断できない事柄だからです。ひきこもりに関してはケース・バイ・ケースの問題で、それぞれの対処方法が異なります。しかし、時間をかけて取り組むわけにはいきません。最悪の場合は養親が年老いて亡くなり、引きこもりの子どもが後を追う可能性が高いからです。
世間では引きこもりの人たちに働くように促す意見がありますが、働くことができないから8050問題が生じているのです。引きこもりには何らかの要因があり、特に中高年の引きこもりではリストラや配置転換、上司のパワハラ等がきっかけとなり、引きこもりが発生している報告が多々あります。確かに61.3万人は少なくない数字です。この問題は喫緊の課題として老々介護と同様に国を挙げて取り組まなければならない深刻な問題です。この問題に関心のある方はNHKの「ひきこもりクライシス 100万人のサバイバル」をご参照ください。(https://www3.nhk.or.jp/news/special/hikikomori/articles/crisis_04.html)